『ウイルスに負けない体のつくり方』 ~「免疫力」を決める3つのポイント~
【赤嶺コメント】
当方のアトピー克服理論においても基本となる腸内環境整備。この整備によって免疫も自律系も安定し、克服に直接関与する肝腎機能においても腸管で産生される物質によって機能活性されます。人間は『菌との共生』しながら、この雑菌社会の中を生き抜いています。
腸内細菌なしには、人間は生きることが出来ないのです。このことの裏付けともなる多くの情報をここに提示し、当方の行っているアトピーサポート活動をご理解いただきたいと思っています。
今は多くの研究者や企業が、この取り組みを行っていますので、その成果などを掲載してゆきます。古いものから統計すれば100件くらいはあると思いますが、抜粋して随時掲載します。
【ウイルスに負けない体のつくり方】あなたは大丈夫?「免疫力」を決める3つのポイント
腸内には体内の約60~70%の免疫細胞が集中している。
全国的に自粛解除、緩和の動きがありつつも、第二波、第三波が懸念されている新型◎◎◎ウイルス。
この未知の脅威に打ち勝つために大切なのは「免疫力」だ。「免疫力を決めるポイントは大きく分けて3つあります」と、免疫について詳しい、順天堂大学医学部 免疫学特任教授の奥村 康さんは教示してくれた。
さっそく、その3つのポイントを。
■ポイントその1「腸内環境」
腸内には体内の約60~70%の免疫細胞が集中!
「免疫力に大きく関与しているもの…そのひとつは『腸内環境』です。私たちが日々、飲んだり食べたりしたものが運ばれてくる腸。異物や外敵も侵入してくる危険性があるため、腸管には体全体の免疫細胞の約60~70%が集まっています。特に小腸には、大量のリンパ球が存在しています」と奥村先生。
人ひとりの腸内にすんでいる細菌は、約40兆個。どんな菌がどのようなバランスで存在するかはひとりひとり異なるが、その人の体に有用な作用をもたらす、いわゆる“善玉菌”、逆に有害物質を作り出すなど好ましくない働きをする“悪玉菌”、そしてこのふたつの優位なほうに加担する“日和見菌”に大別される。
「これらの菌のバランスがおよそ2:1:7のときに、もっとも免疫細胞が活性化すると考えられています。悪玉菌が増え過ぎると免疫細胞の働きは低下しますので、日々、善玉菌を増やす努力を積極的に行うことが大切です」
それには、腸内でいい働きをする有用な菌であるビフィズス菌や酪酸菌、乳酸菌(プロバイオティクス)と、これらの菌のエサになる水溶性食物繊維やオリゴ糖(プレバイオティクス)を食事で摂ることが重要。
●水溶性食物繊維を多く含む食品
海藻類、柑橘類、リンゴ、ニンジン、オクラ、大麦など
●ビフィズス菌を含む食品
ヨーグルト
●酪酸菌を含む食品
ぬか漬け
●乳酸菌を含む食品
味噌や納豆などの発酵食品■ポイントその2:「自律神経」
交感神経優位な状態が続くとNK細胞が減ってしまう!
呼吸や体温、心拍など、私たちの生命活動を司る「自律神経」には、交感神経と副交感神経がある。交感神経は緊張・興奮状態など活動モードのときに優位になり、心拍数や血圧を上げ、血液を脳や筋肉に集める。一方、副交感神経は心身がリラックスモードのときに優位になり、胃腸の働きを高めたり、心身のダメージを回復させるように働く。
「この2つはバランスが大事で、どちらからに偏りすぎると免疫に悪影響が生じます。体内の免疫細胞である顆粒球とリンパ球の割合は6:4が理想です。しかし、強いストレスで交感神経が優位な状態が続くと、リンパ球(NK細胞、T細胞、B細胞)が減り、顆粒球が増え過ぎてしまいます。過剰な顆粒球はリンパ球の働きを抑止するので、結果、免疫力を低下させることになるのです」
ストレスフルな毎日を送る現代人は、交感神経が優位に偏りがち。上手にリラックスする工夫をして、副交感神経とのバランスをとることが大切だ。
■ポイントその3:「基礎代謝」
筋肉量を減らさないこと、体を冷やさないこと。
基礎代謝とは、呼吸や体温調整、臓器を動かすなど、私たちが生きていく上で必要不可欠なエネルギー代謝のこと。1日の消費エネルギーの約70%を、この基礎代謝が占めている。筋肉量と密接に関係していて、筋肉量が減ると基礎代謝も減ってしまい、またそれに伴い体温も低下するといわれている
「特に免疫に大きく関係する、白血球の中のNK細胞は、体温が36.5度以上だと活発に働きます。逆に低体温を好むのは、がん細胞です。お風呂などで体を温めても平熱そのものを上げるのは難しいのですが、定期的に温熱の刺激を与えること、日ごろから体を冷やさないように心がけることは、免疫力アップに役立ちますよ」
筋肉量を維持して、体温や基礎代謝を下げないためにも、やはり日ごろから適度な運動をすることが大事。「しかし、注意していただきたいのは、激しい運動はむしろ免疫力を低下させるということ」と奥村先生。実は、激しい運動をするアスリートは、意外にも風邪をひきやすい傾向があるそう 。「激しい運動をすると、一時的にNK細胞の活性は高まりますが、運動を終えるとガクンと下がります。このとき感染症リスクも高まることがわかってきたのです。“運動は適度に”を心がけましょう」と奥村先生はアドバイスしてくれた。
監修/奥村 康さん(おくむらこう・医学博士)
順天堂大学医学部免疫学特任教授。アトピー疾患研究センター長。スタンフォード大学リサーチフェロー、東京大学医学部講師、順天堂大学医学部教授、同大学医学部長などを経て、現職。免疫学の国際的権威である。著書多数。
取材・文/山村浩子さん